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『許されざる者』(5)
◇ ◆ ◇


 あの晩。新一郎はしたたかに酔っていた。満月に照らされた橋の手前にさしかかった時、橋の上にいる男女の姿が目に入った――それは奈々江と与五郎だった。
 新一郎は息を呑んだ。橋の手前で身を隠し、息を潜めて様子を窺った。
 淡い月光が降り注ぐ中、二人は親しげに言葉を交わし、そして抱き合った。
 抱擁を終え、橋の向こう、闇の中へと消えていく与五郎の後ろ姿を、名残惜しそうに見送る奈々江。
 橋を渡りその背後に歩み寄った時には既に、新一郎の理性は決壊していた。
 心地良い加減だったはずの酔いはいまや良心を毒々しく汚染し、普段からは考えられないような罵詈雑言を最愛の妻に浴びせかけたのだ。
 今まで自分に隠れ、夜毎与五郎に会いに行っていたのではないか?
 自分への愛情は見せかけだけで、本心は与五郎の方に捧げているのではないか?
「お許しください」
涙を浮かべ、その言葉だけを繰り返す奈々江に、新一郎の苛立ちは募るばかりだった。
 ――何故言い訳をしないのだ。
 思い余った与五郎は遂に、脇差を抜きつれ白刃を奈々江の細い首筋に突き付けた。
「この刃で――」
――与五郎を殺せ。
「出来ぬのなら……この場でそなたと刺し違えるまでだ」
奈々江はわっと泣き崩れた。新一郎はこんな妻を見るのは初めてだった。
 何故このようなことをしなければならないのか。
 これほど奈々江を追い詰めたところで仕方がないのではないか。
 酔いが覚め始め正気に戻りかけた時、奈々江が不意に泣き止んだ。顔を上げて夫を見据えたその眼は、新一郎が知らないもう一人の奈々江のものだった。
「与五郎さまのお子は――私の子でございます」
握り締めた刃が、奈々江の心臓に突き刺さった。
 橋の上から新一郎の体が翻り、鈍い音とともに叩きつけられたのは、その後まもなくのことだった。

◇ ◆ ◇


「あの日、俺は元々脱藩するつもりだったのだ」
右手から血を滴らせながら、与五郎は言った。
 奈々江との間に出来た子を連れ、江戸で暮らそうと決意していた。奈々江と会ったのは、最後の別れを告げるためだった。
「お前達には、幸せになってもらいたかった……俺の分までな」
与五郎は、自分が藩に居ては奈々江が幸せになれないと考えていた。あの夜、最後の抱擁を交わしながら、自分のことは忘れよと告げていたのだ。
「今にして思えば、余計なことをしたようだな」
あの日、奈々江に別れを告げようなどと思わなければ――
 新一郎はただ茫然としていた。与五郎の話など耳に入ってはいない。聞かされなくとも、そんなことは今となってはすべて分かっていた。
 ――許サナイ。
 あの夜、奈々江の体から溢れる血で文字を書いたのは、新一郎自身だったのだ。
 新一郎を狂気に駆り立てたのは、奈々江の死ではなかった。あの時、既に新一郎は……

 あれから新一郎は町をさ迷い歩き、やがていずこかへと消えた。
 真に許されざる者は誰であったか――それさえも、もう知る者はいないのだ。


<了>
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【2007/04/28 22:32】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『許されざる者』(4)
 体勢を崩されながらも、新一郎は構わず踏み込んで上段から斬撃を浴びせ続けた。
 その都度刀で受け流していた与五郎だが、呼吸も間合いも無視して狂ったように攻撃してくる相手にはさすがに畏怖をおぼえた。尋常な立ち合いなら決して負けるはずのない相手であっても、こうも気合いで押されては手の打ちようがない。捨て身の恐ろしさというべきであった。
 焦りを感じた与五郎は、大きく一歩下がって一度間合いを外し、隙を窺った。案の定大振りに振り下ろされた新一郎の剣先は空を切る。すかさず与五郎は踏み込み、右肩を目掛けて鋭い一撃を浴びせ掛けた。辛うじて受け止めた新一郎だが、強烈な斬撃に手が痺れ、大きくのけ反った。
 鍔ぜり合いになれば膂力の強い与五郎に分がある。じりじりと押される新一郎。
 思わず片膝をつきそうになった瞬間、新一郎は右足で咄嗟に前蹴りを食らわせ強引に与五郎を突き飛ばした。不意を打たれ尻餅をついた与五郎の頭上に、新一郎の追い撃ちの刀が閃く。
 与五郎は咄嗟に横薙ぎに剣を振るって防ごうとするが、それを紙一重でかわした新一郎は夢中で右篭手に剣を撃ち下ろした。切っ先が稲妻のように一閃し、与五郎の右手は柄を握ったまま血飛沫をあげて夜の闇の中に弾け飛んだ。

 新一郎が追い求めてきた瞬間が、遂にやってこようとしていた。
 息も絶え絶えで立つのがやっとの状態ではあったが、もはや余計な体力は必要ない。右手首を押さえてうずくまっている目の前の男の首さえあげれば、もう生きていること自体に意味が無くなるのだ。
 抜き身の刀を握ったまま大きく一度深呼吸し、気を落ち着かせる。斬り合いを終えてみれば、右手を失い両膝をついて震えている一刀流の遣い手の姿が哀れにも思えてきた。
 ――この男も、奈々江を愛していたのだ。
 そう思うと、このような場所で無惨に朽ち果てねばならない与五郎という男にも、同情する余地はあるのではないか。無論、生かしておくことは出来ないが――
「何か、言い残すことはあるか」
思いもよらなかった言葉が、新一郎の口をついて出ていた。それは死を目前にした男同士の間に流れる、ごく自然な感情であったかもしれない。
 与五郎は乱れる呼吸を整えると、ゆっくりと顔をあげた。血の気は引いていたが、それは城中で顔を合わせていた頃と変わらない、引き締まった若武者の表情であった。
 だが次の瞬間与五郎の口から発せられた言葉は、新一郎の理解を超えたものであった。
「何故……俺が奈々江を殺したと思ったのだ?」
かっと燃え上がるような怒りが、新一郎の全身に湧きあがった。
 この期に及んで何を言うのか。未練がましく奈々江に言い寄った揚句、激情に駆られて非情にもその命を奪ったのではないか!
「では何故――お前は奈々江を殺したのだ?」
一瞬、眼球が裏返ったような感覚がした。与五郎の右手から流れる鮮血が月明かりに照らされ、名状しがたい妖しげな輝きを伴って新一郎の視神経を浸食する。
 何か、脳の奥底に封印されていたただならぬ記憶が、今にも解き放たれようとしている。
 ――許サナイ。
 何故、医者の家で目を覚ました時既に、与五郎を斬らねばならないと思ったのか?
 何故、奈々江の亡骸を見ていないのに、あの鮮血の文字が脳裏に焼き付いているのか?
 何故――?

「――ああ」
新一郎は、すべてを思い出した。
「あの宵も確か、月が満ちていたな」


<続く>
【2007/04/27 18:44】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『許されざる者』(3)
 野も山もすっかり色づいた頃、虫たちの唄声を背に新一郎は江戸へ向けて旅立った。
 名目は藩江戸屋敷への使いである。当初奈々江の仇討ちを願い出た新一郎に、藩の上役は渋い顔をした。奈々江殺しの下手人は与五郎と決まったわけではないというのが、藩の見方であった。そこをなんとか押して、ようやく江戸行きの許可を取り付けたのだ。
 悲壮な決意を秘めた新一郎の足どりは速かった。冷静に考えれば、師範代の腕を持つ
与五郎とまともに立ちあって、勝てる見込みは少ない。だが、やらなければならなかった。
刺し違えてでも命を絶たねばならない相手だった。よしんば与五郎に勝つことが出来ても、自分だけが生き残るつもりは毛頭ない。
 奈々江を見殺しにした自分自身も、決して許せるものではなかったのだ。

 江戸に到着した新一郎は使いの役目を早々に果たすと、そのまま藩邸に留まり与五郎の行方を捜し始めた。と言っても正式の討手ではない以上、藩の役人に聞き回るわけにはいかない。
 役目を終えてもなお国元に帰ろうとしない新一郎を、江戸詰めの藩士たちも怪訝な目で見ていた。
 新一郎は仕方なく町へ出て方々を尋ね回り、藩屋敷へと戻る日々を送った。

 二週間程が過ぎ、新一郎はようやく与五郎らしき人物の居場所を探りあてた。
 町の外れにある小さな荒寺に、与五郎は身を潜めていた。
 日が沈み、辺りはすっかり夜のしじまに包まれている。しなだれた柳の生い茂る境内を進むと、ぼろぼろに朽ちた本堂の入口の向こうに蝋燭の仄かな明かりが見える。その手前で入口に背を向けて座っているのは……紛れも無く、松崎与五郎だった。
 怨敵を目の前にして、新一郎は自分でも驚くほど落ち着き払っていた。足音を立てないようゆっくりと近づき、入口の戸に右手をかける。
 左手で刀の鯉口を切る音に、灯に照らされた与五郎の影が微かに動いた。
「来たか」
低い声が蝋燭の灯を揺らしたその時には、新一郎の刀は鞘から抜き放たれ与五郎の頭上に電光のように躍りかかっていた。
 素早く畳を転がってかわした与五郎は、鞘ぐるみの刀で新一郎の胸に強烈な突きを見舞った。
 突き飛ばされた新一郎の体は戸を突き破り、満月の照らす境内にまで転がり出た。
 与五郎は破壊された戸口に立つと、新一郎を見下ろすようにしてゆっくりと刀を抜き放った。
 したたかに打たれた胸を押さえ、咳込みながら立ち上がる新一郎。その息遣いはすでに荒い。
 竹刀での立ち合いしかしたことが無い新一郎にとって、真剣勝負での体力の消耗は想像を絶するものであるはずだった。が、その目は銅藍のように爛々と輝き、前を見据える姿勢もまるで餓えた肉食獣を思わせるものがあった。
「……許さない」
何かに取り憑かれたような声で呻くと、新一郎は刀を上段に振り上げ遮二無二突進した。
 青眼に構えた与五郎は二歩、三歩と踏み出すと、右袈裟に振り下ろされた一撃を受け止め、渾身の力で跳ね上げる。月夜の静寂の中に二つの殺気が交錯し、金属音が不気味に響き渡った。


<続く>
【2007/04/26 19:15】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『許されざる者』(2)
 城下町の外れにある一刀流道場。松崎与五郎はそこで師範代を務めていた。
 商家の娘である奈々江を見初めたのは三年ほど前のことである。
 気さくな人柄の与五郎はすぐに奈々江と打ち解け、関係を持つようになった。
 剣の腕も恋の手練手管も与五郎に及ばない新一郎は、二人の関係を黙って見ているほかなかった。
 だが、そんな日々も長くは続かなかった。
 ある時与五郎の父が城中で刃傷沙汰を起こし、切腹を申し付けられたのである。
 辛うじて与五郎は相続を許されたものの、禄高は半分以下に減じられとても所帯を持つどころではなくなってしまった。しかも与五郎には、父が養子として迎えた幼い子が一人いたのだ。
 奈々江は与五郎の身を案じ、あくまで尽くそうとしたが、両親はそれを許さず、与五郎もまた奈々江のためを思い、自ら遠ざかるように隣町へと移り住んだ。
 喪失感に蝕まれ鬱々と日々を過ごす奈々江を、慰め励まし続けたのが新一郎であった。
 松崎家の凋落が無ければ、新一郎も奈々江と結ばれることは無かったのである。

◇ ◆ ◇


 その奈々江が、死んだ。
 左胸を一突きに刺されて死んでいる奈々江が発見されたのは、新一郎が医者に担ぎ込まれた翌朝の未明である。
 殺され方も残忍であったが、死体あらための役人を何よりも驚かせたのは、奈々江の傍らの橋板に血で書かれた文字だった。
「許サナイ」
若い女の鮮血で刻まれたその四文字の言葉は、遺骸を目にしたすべての者にただならぬ戦慄をもたらさずにはいなかった。
 目を覚まし、怪我の具合も良くなった新一郎の耳にも、様々な話が入ってくるようになった。
 橋板に書かれていた血文字のことも、その日奈々江と与五郎らし男が会っていたという話も、そしてその日以来与五郎が城下から姿をくらましたということも。
 奈々江が死んだ――新一郎には信じられないことだった。
 全身を貫くような哀しみと同時に、引き裂かれるような激しい後悔の念に苛まれた。
 あの日勤めを終えた新一郎は、同じく馬廻りの若い藩士たちと遅くまで酒を飲んでいた。
 したたかに酔って帰るうちに足元も覚束なくなり、不覚にも橋の上から落ちてしまったのだろう。
 奈々江は帰りの遅い主人の身を案じ、迎えに行こうとしたのであろうか。
 その途中、思いもよらず与五郎に出くわした。与五郎に迫られた奈々江は頑なに拒絶し、揉み合ううちに刺し殺された――
 左腕の血文字は、息絶える寸前に奈々江が残した最期の感情の吐露だったのだ。
 ――許サナイ。
 新一郎との幸せな日々を、一瞬にして奪い去った与五郎への怨み。
 だが新一郎は、奈々江の怨念は自分に対しても向けられているように思えてならなかった。
 たった一晩の不注意で最愛の妻を死なせ、ようやく手にしたはずの幸福を失った。許してもらえるはずもないと思った。
 だがそれ以上に、身勝手な欲望で自分と奈々江の幸せのすべてを破壊した与五郎という男を、到底許す気にはなれなかった。
 ――許サナイ。
 鮮烈な血文字が瞼の奥に浮かぶたび、新一郎の体内を狂暴な感情が雷の如く何度も走り抜けた。
 それはもはや怒気とも殺気とも呼べぬ、狂気としか言いようのない感情であった。
 斬らなければならない、あの男を。
 松崎与五郎が脱藩して江戸にいることを知った時、新一郎は身も心も一本の凶器と化していた。


<続く>
【2007/04/25 17:37】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『許されざる者』(1)
『許されざる者』



 新一郎が目を覚ましたのは三日目の朝のことだった。
 夜更けに橋の下で血を流して倒れている新一郎を同僚の若侍が見つけた時は、さすがに死んでいると思ったそうである。
 まだ息があることを知った侍は慌てて新一郎を背負って近くの医者まで運び、既に床に就いていた医者を叩き起こして手当を施してもらったのだった。
 幸いにして額の傷は浅く、足を打撲している他は軽傷で済んだのだが、なにしろ酷く酔っていたためになかなか血が止まらず、医者も手を焼いた。
 意識が戻った直後、新一郎は自分が誰なのか、何故ここにいるのか把握するのに手間取ったが、とにかくも自分が米山藩士高木新一郎であることを実感として認識すると、途端に怒りとも苦痛とも覚束ない凄絶な感情が体の中を駆け巡るのをおぼえた。
「おお、気がつかれたか」
障子を開けて部屋に入って来た医師は新一郎が起き上がっていることに驚いたが、その瞳が異様な光を帯びて宙空を睨みつけているのに気付き、戦慄した。病み上がりの人間のする表情ではなかった。
「……いかがなされた?」
医師は恐る恐る尋ねたが、新一郎の視線は揺るぎもしない。やがてその口が微かに開き、僅かばかりの声が漏れた。
「……ば」
「……?」
その言葉を聞き取ろうと、医者が近づき耳を寄せる。
「……斬らねば……あの男を」
医者は思わず息を呑んだ。
「生かしておけぬ……あやつだけは」

◇ ◆ ◇


「まあ、綺麗」
道端に咲いている野薊の花を見つけ、奈々江の表情が綻んだ。
 下級藩士たちの住む長屋に沿った狭い通りを、二人は並んで歩いていく。
「もうそろそろ夏ですのね」
米と塩の入った桶を両手に持った新一郎はさすがに疲れの色が見えていたが、振り返った奈々江の無邪気な笑顔はそれを忘れさせるのに十分だった。
「もうすぐ夏、か」
新一郎は感慨深かった。ようやく奈々江と所帯を持つことが出来て一年。藩での馬廻りとしての働きが認められ、加増されて妻を養えるだけの扶持を得られたのだ。
 幼い頃から想いを寄せていた奈々江と夫婦になることだけを夢見て、勤めに励んできた報いの大きさを新一郎は噛み締めていた。
 ――手放すものか。
 足どりもいっそう力強くなる。
「……与五郎さまは」
「ん?」
「与五郎さまは、今頃どうしておられましょうか」
新一郎の顔色が一瞬にして変わった。
「……その名は口にするな」
「でも」
「口にするなと言ったはずだ」
「……はい」
新一郎の鋭い口調に、奈々江は俯くほかなかった。
 そう。口にしてはならない。
 あまつさえこのような時に、口に出すべき名では決してなかった。
「忘れるのだ」
奈々江の耳に、若く凛々しい夫の声が響く。今度は優しい声だった。
 ――そうよ。
 そう。忘れてしまえばいい。
 わざわざ蒸し返すことをしても、三人が三人とも傷つくだけなのだ。
 数えて十九になったばかりの奈々江にとって、それは大人になるために、そしてこれから続いていくべき幸福を守るためにも必要なことであるはずだ。
「……はい」
奈々江の表情に笑顔が戻った。
 これでいい。新一郎も奈々江も、それぞれに決意と自戒を胸にして歩みを早める。
 野薊の花が、遠くに揺れていた。


<続く>
【2007/04/24 23:17】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ボンゴレ作ってみた
20070423233909
ボンゴレ・ロッソですね。
すんごい久々にトマトソースを自作しました。

お味の方は……まあまあ、としか言いようが(笑)
もう長いことお店で食べてないので比較対象も無いし……
でもあさりは美味しかったですね。
もう少し彩りを添えてまた作ってみたいです。
【2007/04/23 23:38】 | 日常 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『火刑』(5)
「……なんでそんなコトしたんだよ」
事実を知ると、あまりにふてぶてしい美佳の態度に裕介は腹が立ってきた。
「知らないの? 魔女は火あぶりの刑って、中世からの常識よ」
「魔女はお前だろ!」
裕介は激昂した。平気な顔をして沙紀子を酷い目に遭わせた目の前の女が、本物の魔女に思えてきた。
「――知らないのね。自分を思ってくれる人がいることも」
「え――」
「里菜ちゃんに相談されたのよ。坂井君に振り向いてもらうにはどうしたらいいかって」
裕介は戸惑った。確かに知らなかった。里菜はただの幼なじみのちょっと頭の足りない女だとしか認識していなかった。
「なかなか難題だったよ。サキちゃん可愛いし、あなたがサキちゃんに惚れてるのも知ってたしね」
「だからって――」
あんな酷いことをしなくても。裕介の脳裏に、包帯を巻いた痛々しい姿の沙紀子が浮かんだ。
「……これだから」
処置なし、といった顔で煙を吐きながら天を仰ぐ美佳。
「サキちゃんてヒドイ女なのよ? あんなロリ顔のくせしてクラス中の男を誘惑してたんだから」
確かに男はロリ顔に弱い。
「ま、強制はしないけど、少しは里菜ちゃんのことも考えてあげたら? 魔女からの提案よ」

 それから一ヶ月後、再び美佳は転校していった。
 裕介は里菜とつきあっている。それなりに充実した日々だが、油断は禁物だった。
 ――女は怖い。
 美佳のことを思い出すたび、裕介はそう思うのだった。


<了>
【2007/04/22 21:50】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
風林火山(13)
第十六回「運命の出会い」

武田家の謀略によって敗れた諏訪頼重。妻子と引き離され、東光寺に一時的に幽閉されます。
一方諏訪を降した武田晴信は高遠頼継との和議に臨みます。諏訪の支配と大祝の職を任せるという当初の約束を果たすよう迫る高遠ですが、晴信は先陣を切らなかった高遠の約定違反を謗り、半ば強引に諏訪の半分を武田のものとすることを承服させます。

蝉の鳴く季節の甲斐。晴信は頼重との対面を果たします。謀反を企てた高遠を誅罰するよう要請した頼重ですが、晴信は頼重の嫡子・寅王丸が家督を継いだ後に、と主張。これは頼重に諏訪に関しての権限が無いことを暗に示すものでした。頼重は激怒しますが、晴信も頼重が先に武田を裏切ったのだと怒り、怒声を返します。
結局頼重は山本勘助に寅王丸のことを託し、妻の禰々に宛てた遺書をしたため、自害して果てます。
その後大祝の頼高も自害し、ここに実質的に諏訪氏は滅亡しました。

頼重と仲睦まじかった禰々は食事も喉を通らぬほどに嘆き悲しみ、兄の晴信も心を痛めます。が、板垣信方に諏訪の残党をどうするか尋ねられると、後に憂いを残すなと厳命。このあたり、当主としての晴信の成長が表れているようです。

その後桑原城に篭る諏訪の残党を討つため、板垣と勘助が出陣。重臣たちから人ではないなどと散々言われた勘助、ここでも板垣に対し城兵の皆殺しを主張しますが、板垣はなるべく犠牲を出さない方針を取ります。
桑原城内へ攻め入った勘助たちは労せず敵を蹴散らし、平蔵との再会を経て由布姫の部屋へたどり着きました。
何故今まで自害しなかったのか?という板垣の問いに、由布姫の侍女は自分たちがお止めしていたのだと答えます。それを聞いて突如笑い出す由布姫。
「自害は嫌じゃ」
父も大祝も皆死んでいく。この世は生き地獄。しかし、だからこそ見届けたい。どんなに辛くても、生きていたい――
由布姫の強い意思に触れた勘助は、一転して姫を助けようとするのでした。

今回のレビューはかなりあらすじを端折ってみました。もう少し描写などに関して感想を書きたいのですが、なかなかうまい書き方が出来ません……
由布姫役の柴本幸さんは今回がひとつの山場の演技でしたが、雰囲気はかなり出ていたように思います。もっとも、演出に助けられた部分も大きい気はしますが……
時代劇のヒロインとしては異色のキャラクターなので難しい役どころだとは思いますが、独特の眼光を持った女優さんなので今後も期待が持てそうです。
ではまた次回です。
【2007/04/22 21:41】 | 歴史 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
『火刑』(4)
「……なんでここにいるんだ」
裕介はやっとのことで声を搾り出した。
 美佳はそれには答えず、パイプ椅子に座って手鏡を見ながら髪をとかしている。
 あのメールは確かに沙紀子からのものだった。なのに何故?
「サキちゃんなら家にいるよ」
ぞっとするほど無邪気な声で美佳は言った。
 ――こいつは知っている。
 ボヤ騒ぎの真犯人も、美佳を犯人に仕立てあげた主も。裕介は確信した。
「タバコのこと……怒ってるのか?」
あぁ、と思い出したように、美佳は天井を見上げて声をあげた。
「あれ、坂井君がくれたんだ? おかしいと思ったんだよね、いつの間にか箱が増えてるから」
何を言ってるんだこいつは?
 もはや裕介には理解不能だった。
「それにしても良く知ってたね、私がホープ吸ってることなんて」
「とぼけんな」
裕介は語気を強めた。
「知ってるんだろ、何もかも。あの日俺がここでタバコ吸ってたことも、それをお前のせいにしたことも。その意趣返しのために俺をここに呼んだんじゃないのか」
「あれは私がやったのよ」
何――?裕介は唖然とした。
「え?まさかずっと自分のせいにしてたの?」
あははっ、とさも可笑しそうに美佳は笑った。
「考えてもみなよ。ゴミ箱の中の吸い殻の火がスプレーに引火するわけないじゃん」
あ――と裕介は思わず声を漏らした。
「よく分かったなぁって、感心してたのよ? 私がスプレーに細工してたコト。私より坂井君の方が占いの才能あるんじゃないかって」
美佳はホープとプリントされた小さい箱から一本取り出し、黒いオイルライターで火を点けると美味しそうに一服した。


<続く>
【2007/04/21 21:25】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
風林火山(12)
第十五回「諏訪攻め」

前回山本勘助が提案した諏訪への出兵が、武田晴信の指揮によっていよいよ実行されます。

冒頭、諏訪頼重と禰々(晴信の妹)との間に嫡子・寅王丸が生まれます。武田家にもその知らせがもたらされ、それでも諏訪へ出兵するのかと問う板垣信方に、むしろその気運は高まったと答える勘助。頼重のあとの諏訪領主として寅王丸を据えようというのが勘助の思惑のようです。

その諏訪では教来石景政が間者として矢崎家に潜り込んでいるわけですが、矢崎家の娘ヒサはとうとう西方衆の家へ嫁ぐことになってしまいます。西方衆へは教来石が武田への内応を工作しているのですが、当然知るよしもありません。平蔵と夫婦になりたいヒサは落ち込みますが、平蔵もどうすることも出来ずにいます。

そしていよいよ武田家の出陣の時が迫ります。使番衆は「百足衆」と改められ、その役目はより重いものとなりました。出陣の儀式を済ませ、当主となって初めての戦陣に赴く晴信。三条の方は嘆きますが、大井夫人は大名にとって戦は避けて通れぬ道だと説きます。

程なくして諏訪に武田出陣の報がもたらされます。呆然とする頼重と禰々。泣き出す寅王丸…細かい演出です。
晴信率いる武田軍は御射山に着陣します。が、内応の誘いに応じ、先陣を引き受けたはずの高遠頼継は動く気配を見せません。高遠が日和見を決め込めば、諏訪は武田のみを敵と見なして戦を仕掛け、禰々の命を救うことは困難になります。焦る勘助。
そしてとうとう頼重は僅かな手勢で上原城を打って出、武田の陣へ迫ろうとしました。甘利虎泰はここぞとばかりに声を荒げ、勘助の失策を詰りますが、晴信はそれを制して勘助に今後の見通しを尋ねます。
武田が戦を始めない限り高遠は動かないと見た勘助は、旗差物や篝火を増やして自軍を多く見せ、諏訪勢に自ら撤退させることを提案します。その際、より堅固な桑原城へ篭ることを選ぶだろう諏訪勢は、上原城をみすみす敵に渡さぬよう自ら火を放つ。その火を見れば高遠勢も動き出す…晴信は合点し、先陣を申し出た小山田信有に飯富虎昌、甘利を加えた三人に出陣を命じます。

翌日、小山田らは予定通り出陣しました。諏訪勢に加わっていた教来石がその軍勢を見て「諏訪もこれまでじゃのう」と嘆息すると、従っていた雑兵たちは戦意を無くして逃げ出します。
教来石「これまでじゃ」
平蔵「これからじゃ!」
などと馬鹿なやりとりをしつつ(笑)、諏訪勢は撤退し、上原城に火を放って桑原城に篭城。荷籠の中で涙を流す由布姫が印象的です。
この様を見た高遠頼継も慌てて出陣。すべては勘助の思惑通りに運びます。

7月3日、桑原城に篭る兵も続々逃げ出し、諏訪勢は20人あまりとなります。そこへ板垣と勘助が使者として訪れます。
二人は今回の戦はすべて高遠が仕組んだものであり、武田は諏訪を裏切ったわけではないと説きます。頼重はそれを聞いて態度を軟化させますが、勘助が頼重の降伏、寅王丸への家督委譲を要求すると突然笑い出し、捕われた教来石を庭先に引き出して武田のやり口を罵ります。
切羽詰まった勘助は教来石を手討ちにする姿勢を見せますが、頼重はそれを止め、ついに降伏を決意します。
そこへ由布姫登場。着物に反射した光で勘助の顔が赤く染まる描写が雰囲気を醸します。由布姫は武田を非難し、降伏には断固反対します。
「醜い悪鬼じゃ」
勘助を見下ろす由布姫の形相と、それを見返しほくそ笑む勘助が対照的に映し出され、今回の話は終わりとなります。

…また一週遅れのレビューとなったうえ、取り留めの無い文章になってしまいました。
毎回無駄に長くなってる気がしないでもありません。
次回は「運命の出会い」です。
【2007/04/21 15:37】 | 歴史 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
『火刑』(3)
 正直、これほど上手く運ぶとは思わなかった。いや、上手くいってはいけなかったのではないか。
裕介が咎めを受けることは無くなったとはいえ、真犯人は変わることはないのだ。
 沙紀子をあんな目に遭わせたという罪悪感も、決して晴れることはないのだ。
 朝、隙をみて美佳のバッグの中に忍び込ませたタバコの箱は、部室で見つかった吸い殻――つまり裕介自身が吸っていたものと同じ銘柄だった。その上でプリントアウトした手紙を学校の郵便受けに放り込んだのだ。
 職員室に呼び出された美佳は、持ち物をチェックされたのだろう。バッグから出てきたタバコが「動かぬ証拠」となり――事件は解決した。
 ことの経緯は担任から短い説明があっただけで、事件の余韻は意外なほどあっさりと風化した。学校としても、これ以上騒ぎを引きずってイメージを落とすようなことは避けたいのかもしれない。もしかすれば美佳も――単なるスケープゴートとして利用されたに過ぎないのかもしれなかった。
 美佳のいない教室はいつもと変わりなかった。ただ、里菜だけが以前より心なしか元気をなくしているようではあった。
 数日が、何事も無く過ぎていった。

 事件から四日が経ったその日は日曜日だった。既に辺りが薄暗くなった時分に、裕介は部室に
向かっていた。
 沙紀子からメールが来たのは前の晩である。
 ――会いたい。部室に来て欲しい。
 ただそれだけの内容だった。もう退院したのだろうか? かすかな疑問が裕介の胸中を過ぎったが、それもすぐに消えてしまった。会わなければならない――義務感めいた感情がとって代わり、裕介のとるべき行動を決定づけた。
 応急修理の終わった部室は立入禁止も解除されているが、部員はまだ別の部屋を使っている。
 ほの暗い廊下を通り、裕介はおもむろに部室のドアを開けた。
「――あの日も日曜だったよね」
沙紀子の声ではない。
「あ、違った。祝日か」
裕介は文字通り戦慄した。


<続く>
【2007/04/20 20:06】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『火刑』(2)
 一週間前のボヤ騒ぎとは、バレー部の部室でのことだった。
 原因はタバコの火――部活が終わったあと、部室に一人残った女子マネージャーがヘアスプレーを使った瞬間、誰かの捨てた吸い殻の残り火がガスに引火したのだ。
 周囲に可燃物がなかったため火は壁の一部を焼いただけだったが、マネージャーは顔に大火傷を負って入院し、一週間が過ぎた今でも学校に来ていない。
 ――名乗り出るべきだろうか。
 裕介は幾度も思い悩んだ。マネージャーの沙紀子にはひそかに淡い思いを寄せていた。病院に見舞いに訪れた時に見た、顔を包帯でぐるぐる巻きにした沙紀子の姿を思い出すたび、深い罪悪感に押し潰されそうになるのだった。
 だが、騒ぎがあまりにも大きくなったため今更名乗り出られるような状況ではとてもなかった。全校集会も開かれ、さらにバレー部員は何度も教師たちから呼び出され尋問を受けたが、裕介は結局しらを切り通してしまった。もはや自首などとても出来たものではない。
 手掛かりは部室に残された吸い殻だけ。黙っていれば発覚する恐れなどはまず無いのだが、その朝のやり取りは裕介の心に一点の不安を残すものがあった。
 ――あの女が密告るのではないか。
 占いが当たるなどとは露ほども思っていない。が、美佳の思わせぶりな視線は裕介の奥底に眠る不安感を煽り立てるのに十分なものだった。
 美佳は真相を知っているのではないか。何か証拠になるものを握っているのではないか。
 不安と疑念とが飽和状態にまで増長した時、突如ある残酷な考えが脳裏に浮上し、悪魔のように裕介の理性を誘惑した。

 翌日。美佳は一週間の停学処分を言い渡された。


<続く>
【2007/04/19 22:12】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『火刑』(1)
『火刑』



「すごーい」
教室の戸を開けるや否や、里菜の甲高い声が耳をついた。
「……朝っぱらから頭悪そうな声出してんなよ」
「あれ、裕介知らないの? 美佳の占いって超当たるんだよ」
知るか、と裕介は思った。里菜とは小学校からの幼なじみだが、高校生になってもこんな調子である。
 見れば、美佳の机を里菜も含めて三人の女子が囲んで談笑している。
「ねぇね、聞いてよ。この前真奈美の飼ってた犬がふらっと家出たまま行方不明だったんだけどね、
美佳に占いで探してもらったらさ、ホントにそこにいたんだって」
裕介はうんざりした。どうして女というのはこうも占いやら怪談やらが好きなのだろう。
「坂井君も何か占ってもらったら?」
犬好きの真奈美が言ったが、裕介は黙って首を横に振るばかりだった。
「相変わらずノリの悪い奴」
里菜の罵りを無視して、裕介は座の中心にいる美佳の方をちらりと見やった。机に頬杖をつき、微笑を浮かべながら香奈たちのやりとりを眺めている。艶々としたロングヘアーが眩しい。机の上には見るからに怪しげな絵や記号の描かれたカードが並ぶ。タロット、とかいうやつだろうか。
 一瞬、美佳の真っ黒い瞳孔がくっと動いて裕介を捉えた。慌てて視線を逸らす裕介。
 ――相変わらず気味の悪い奴。
 七森美佳は一ヶ月程前に転校して来た。美貌の転校生の出現に男子たちは騒然となったが、裕介はどこか違和感をおぼえて仕方がなかった。
 別に暗いわけでは無い。よく笑うし、女子たちともすぐに仲良くなった。頭もいい。他人に警戒される要素など皆無のはずなのだが――
「一週間前のボヤ騒ぎってさ」
美佳の声に裕介は思わず振り向いた。心臓に針でも刺されたような感覚がした。
「……犯人まだ分かんないのかな」
額から冷汗が流れ落ちる。
 無論、占いなど信じてはいない。そんなので「あのこと」がバレるハズもない。
 しかし――


<続く>
【2007/04/18 23:43】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
風林火山(11)
第十四回「孫子の旗」

今日は統一地方選のため45分早いスタートになりました。

武田家重臣たちとの軋轢がありながらも、なんとか武田晴信の信頼を得ることが出来た山本勘助。しかし、関東管領上杉家の信濃出兵によって諏訪周辺に再び波乱の兆しが芽生えます。

合戦の気配が濃厚になった信濃ですが、諏訪領主・頼重は武田家との盟約を無視し、単独で上杉家と和議を結んでしまいます。武田への復讐を望んで参戦した真田幸隆はがっかり。佐久地方から閉め出され信濃への足掛かりを失った武田家の家中でも、諏訪への出兵を求める声が相次ぎます。
しかし、晴信は諏訪侵攻にはあまり乗り気ではない様子。それも道理で、頼重のもとには妹の禰々が嫁いでいました。いわば人質です。そこで勘助は、諏訪氏と対立する高遠頼継と手を結び、頼重に降伏を迫るという策を進言します。
晴信は即座にこれを取り入れますが、主戦論の甘利虎泰は不満顔。一方小山田信有は、勘助の進言になるほどと唸り感心します。
晴信の勘助への信頼ぶりに不信感を募らせる家臣たちは、晴信の母・大井夫人に不満を訴えますが、板垣信方は勘助を擁護。小山田も勘助への理解を示します。どうやら今後もこの二人が勘助の主な理解者となっていくようです。

その頃当の勘助は何をしているかというと、晴信と二人で露天風呂…なんかやたらと入浴シーンが多いのはどうなんでしょうかこの大河。
湯につかりながら孫子について語る二人。「どこが好きじゃ?」と問う晴信に、勘助は何を勘違いしたのか幾分はにかみながら「眼光」と答えます。晴信のことを聞いているのだと勘違いした訳ですが(笑)、そんな勘助に晴信が放った一言…
「ばーか」
…ホントに戦国武将なんでしょうかこの人(笑)
個人的には『炎立つ』での「ぶっ殺す」以来の衝撃かもしれません…

そんなアッー!な展開があった後(笑)、勘助は教来石景政とともに信濃へ。目的は高遠頼継への調略です。頼継に不信を抱かせない為にわざと仲間割れをしてみせる勘助と教来石ですが、別にそんなことせんでもいいような気もします(笑)。
そのまま諏訪へ入った二人は、道中で矢崎十吾郎の娘・ヒサと平蔵に出くわします。平蔵との再会を喜ぶ勘助ですが、教来石が間者として諏訪へ潜入しようとしていることもあって武田家に仕官したことは言いません。
矢崎の家に泊まることになった勘助は、平蔵とヒサの微妙な関係に気付きます。二人はお互いを想っているのですが、十吾郎は身分の違いから二人の婚姻を認めず、ヒサを他家へ嫁がせようとしていました。
まぁよくある話です(笑)。ドラマの筋書きとしては使い古されている感もありますが、こういうのを入れていかないと一年間も話が続かないのでしょう。

さてその後勘助と教来石は諏訪湖の御神渡りを見に行くのですが、そこで頼重の娘・由布姫の姿を初めて目にします。まさに運命の出合いなわけですが、勘助は「いずれあの姫の命は断たねばなりますまい」などと呟きます。
実際に断たれたら話が続かなくなるのですが(笑)、この時点では仕方ないでしょう。

甲斐に戻った勘助は、春日源五郎が晴信の近習となったことを知り驚きます。孫子の言葉をそらんじたことで川除衆から取り立てられたわけですが、実際はアッー!なこともあったかもしれません(笑)。
その後、晴信は家臣たちの前で新しく出来た「四如の旗」を披露し、戦への決意を示します。今回のタイトルでもあるこの孫子の旗は、その後武田軍団の象徴になっていくわけです。

今回は主に晴信と諏訪頼重の対立が深まっていく時期のお話でした。
原作ではそうした諸々の事情はすっ飛ばされ、晴信はいきなり大軍で諏訪へ攻め入るのですが、ドラマでは丁寧に描写されているようです。
また、勘助に嫌悪感を抱く三条の方と晴信の間にも隙間風が吹き始めています。
今回由布姫の台詞はありましたが、まだ本領発揮とはいかないようですね。正直、諏訪攻め後の由布姫の演技を見るのはGackt謙信並に怖いです(笑)。まぁ原作通りになるとは限りませんが…

ではまた次回です。
【2007/04/08 23:44】 | 歴史 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ナポリタンつくるよ!
20070402193431
作ってみました。
…いや、あんまり家で作るようなメニューじゃないわけですが。

<材料>
パスタ
玉ねぎ
ピーマン
ウィンナー
オリーブオイル
トマトケチャップ
にんにく

<作り方>
適当


…んで出来たのが上の写真。
ケチャップと炒めたピーマンの香りがいかにもそれっぽい。

でわ早速…
いただきまーす。

…一口目の印象は上々。セ〇〇マで売ってるのと比べても遜色ナシ。
しかし食べ進めていくうちに、なんか舌にしつこさが残る。胃がもたれる…
完食してから、後味で原因が判明。

☆犯人はコイツだ!→うぃんな

まぁ余ってたから入れてみただけなんですがw

うーん…でもナポリタンには入ってるもんだと思ってたんだけど>ウィンナー
どうやら幼い日の記憶は何者かによって捏造されたものだったらしい(ぉ
【2007/04/02 19:34】 | 日常 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
風林火山(10)
第十三回「招かれざる男」

前回、知行二百貫で武田家に召し抱えられた山本勘助ですが、甘利虎泰をはじめとする家臣たちに疑惑の目を向けられ、家中きっての猛将・原虎胤と真剣勝負をする羽目になります。

前回のレビューで「互いに刀を抜き合わせた」と書きましたが、勘助の方はまだ抜いていなかったのですね。斬りかかろうとする原美濃を制止し、翌日湖のほとりで改めて決着をつけることを提案し受け入れられます。
同じ頃、当主・武田晴信の次男である次郎は疱瘡を患い生死の境をさまよっていました。次郎の身を案じ、回復を祈る三条の方と大井夫人(晴信の生母)。この場には後に義信と名乗ることになる嫡男・太郎もいたのですが、台詞も無いせいかあまり目立ちませんでした。
序盤では勘助対原美濃の一騎打ちと、次郎を取り巻く人々の様子が交互に描かれます。
翌日、水辺で対峙する勘助と原美濃。晴信と板垣信方をはじめとする諸将が見守る中、美濃は刀を抜きますが、またしても勘助はそれを制止し、逃げ場のない舟の上での勝負をもちかけます。業を煮やした美濃はあっさり承諾。
しかし、その舟は勘助が春日源五郎に用意させたものでした。勘助が舟に乗った瞬間に斬りかかった美濃ですが、勘助はそれをかわして舟の底に穴を空け、源五郎の舟に跳び移ります。泳げない美濃は勘助の投げ掛けた縄にすがるしかなく、勘助はここで勝利を宣言。
これを見て真っ先に笑い声をあげて賞賛したのが小山田信有。信虎健在の頃は策士としての面が目立った小山田ですが、勘助に対しては悪意を持ってはいないようです。板垣は満足そうな笑みを浮かべ、飯富虎昌も勘助の勝ちを認めますが、一人激昂して罵声をあびせていたのが甘利虎泰。甘利は原作でも最後まで勘助を認めようとしない敵役として描かれています。竜雷太さんはこれからが本領発揮でしょうか。
孫子の「兵者詭道也」という言葉を掲げ、自らの本意を示す勘助。晴信は血を流すことなく事態を収めた勘助を褒めたたえ、この騒動は落着となります。
一方、次郎はその日漸く意識を取り戻します。晴信や三条の方がほっとしたのも束の間、次郎が失明しているという事実が医師の口から告げられます。「嘘じゃ」と言って取り乱す三条の方…池脇千鶴さんの演技はホントに秀逸です。若い女優さんでここまで時代劇に合った演技が出来る人はちょっと他に見当たりません。由布姫役の方にとってはかなりのプレッシャーになるのではないでしょうか。

後日、教来石景政とともに館に出向いた勘助は偶然三条の方に出会います。ある意味運命の出会いです(笑)。はじめは親しげに声をかけていた三条の方ですが、勘助の左眼が疱瘡による失明だと知った途端に態度が豹変。汚れを払うかのように下がれと命じます。
次郎の病と勘助の出現を関連づけたのでしょう。現代の感覚では馬鹿馬鹿しいと思うかもしれませんが、むしろこの三条の方の態度のほうが当時としては一般的な感覚だったのですね。決してヒステリックになっていただけではないのです。

程なくして勘助は屋敷を与えられますが、そこには従者として太吉とおくまの一家が居ました。この夫婦もいい味を出しています。大河ドラマの創作部分の良い面が出ていますね。

一見平穏な甲斐の情勢ですが、領主が代替わりした国に乱はつきもの。真田幸隆が身を寄せる上州箕輪城主の長野業政が、関東管領上杉家の意を受け、武田勢が攻め取った信濃国佐久方面へと出兵したのです。
急報を受けた晴信は同盟を結んでいる諏訪頼重のもとへ使者を送りますが、頼重は若い晴信が当主となった武田家を侮り単独行動を目論みます。

次回のタイトルは「孫子の旗」。
一旦は収まった諏訪地方に、再び波乱が起きることになりそうです。
由布姫もいよいよ重要人物として浮上。演じる柴本幸さんの演技に期待です。
【2007/04/01 22:23】 | 歴史 | トラックバック(2) | コメント(0) | page top↑
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